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地元愛と挑戦心で15年、土木のプロフェッショナル―島田市出身・福代さん(㈱丸紅)

静岡県島田市に本社を構える株式会社丸紅は、道路や河川、空港施設など私たちの生活に欠かせないインフラ整備を担う地域密着型の建設会社です。公共工事を中心に、災害復旧や防災対策など幅広い事業を展開しています。 今回は、入社15年のベテラン現場監督である福代さんに、土木業界で働く魅力や地元で働くことの良さ、未来の展望などをお聞きしました。

丸紅の社屋
目次

現場監督の父の影響から土木の道へ

福代さんは島田市出身。建築家だった父親の影響で、幼い頃から現場を見る機会が多かったといいます。

福代さん

父親が建築の方の現場監督でした。よく父親に連れられて現場を見たりしていて、面白そうだと思ったんです。それで僕は建築ではなく土木の方をやってみようと思いました。

そんな思いから島田工業高校の土木科(現:都市工学科)に進学。卒業後は土木系の大学に通いましたが、就職活動はほとんどせず「ずっと遊んでいた」と笑います。

そんな時、アルバイト先のガソリンスタンドを訪れた丸紅の社長からスカウトされる形で入社が決まりました。
「社長から『コータ(福代さん)、丸紅に来ないか』と声をかけてもらいました。」

ご縁があって同社へ入社した福代さん。「社長への恩返し」が働く原動力にもなっているそうです。

現場監督として成長の15年

入社から15年、福代さんは現場監督として多くの公共工事に携わってきました。

「現場監督は基本的に土木作業をしません。作業員さんが作業や重機操作を行い、現場監督はそれを指示したり段取りしたりする仕事です。例えるなら野球チームのコーチとプレイヤーの関係のような感じです。」

一日の業務は、朝の現場確認から始まり、安全書類の作成、作業の段取り、写真撮影、材料発注、そして何より重要な安全管理を行います。業務完了後は安全施設(カラーコーン、バリケード)の設置確認を行い、事務所に戻ってからは写真整理や翌日の準備を進めるといいます。

「想像以上に書類作業は多いです」と福代さんは笑います。

福代さんが話している

未経験分野への挑戦と成長

15年のキャリアの中で特に印象に残っているのは、「橋台」と呼ばれる橋を支えるコンクリート構造物の工事です。

「入社してからは水道工事やアスファルト舗装を担当していて、コンクリート工事は一切触ったことがなかったんです。それなのに突然、社長から『橋台の工事を担当せよ』と指示を受けました。」

「橋台」とは重要構造物と呼ばれる、土木の教科書に載るレベルの重要な工事。未経験分野での大役に、福代さんは夜遅くまでコンクリートの施工方法や管理手法を勉強し、約1年かけて工事を完成させました。

「完成後、担当の監督員さんから『いい工事だったね』と言われ、行政からの評価も高かった。自分がやってきたことが認められたと実感しました。今でも思い出す大きな経験です。」

橋台工事着手前
橋台
橋台工事完成

現在も福代さんは新たな挑戦を続けており、最近では初めての河川拡幅工事を任されています。
「15年目になっても初めての工種があって、今も勉強中です。土木は本当に幅広いので、常に学び続ける必要があります。」

地元企業で働く魅力

福代さんは地元で働くことの魅力について、「自分の生まれ育った場所の道路などを綺麗にするのは嬉しい」と話します。

福代さん

ボランティア活動の一貫で、壊れた舗装の補修や草刈りなどをすることがあり、地域の方々から『ありがとう』と感謝の言葉をいただくことも!それが何よりのやりがいです。

また、地域に根差した人脈やノウハウが仕事をスムーズに進める助けになっているといいます。
「地元の会社や人とのつながりが多いですし、この地域のことをよく知っているというのは大きな強みです。」

自分が関わった工事を日常生活で目にする機会も多く、「自分の近くの道路を作ったりすると、自分も利用するので地域に役立っていることを身近に感じられます」と地元愛を感じる言葉で語ります。

地域の学生に向けて福代さんが作成した工事現場で見つけたもの(動物など)カード
地域の学生に向けて福代さんが作成した「工事現場で見つけたもの(動物など)カード」

建設業界の未来、「新3K」で働きやすい職場づくり

従来、建設業界は「3K(きつい、汚い、危険)」と言われてきましたが、最近では「新3K(給料がいい 、休暇が取れる 、希望が持てる)」へとイメージ転換が進んでいます。 

丸紅でも週休2日制の導入や残業時間の削減など、働き方改革が進められており、福代さんは「仕事の仕方を変えていかなければならない」と時代の変化に適応する重要性を語ります。 

福代さん

最近は時間外労働が少なくなりました。公共工事では『週休2日指定型』が増え、これを守らないと工事の評価点が下がるので、自然と休みが取りやすくなっています。社長からも『時間外を少なく』と指示があり、働きやすい職場づくりを進めています。

技術の革新とともに変化し続ける丸紅の未来

15年間同じ会社で働き続ける原動力を尋ねると、「土木って人のためになる仕事なんです」と福代さんは真剣な表情で答えます。 

「道路がなければ救急車も行けないし、消防車も行けない、バスもタクシーも走れない。インフラを作ることで人々の生活を支えることができます。」 

測量の機械

丸紅は、ICT施工やAIを活用した業務効率化を進める方針で、図面から必要な材料を自動で拾い出すシステムなど、最新技術の導入に取り組んでいます。 

「本当に昔と比べて変わりました。技術の進化と共に、僕たちの働き方も変わっていくと思います」 

地元を愛し、常に新しい挑戦を続ける福代さんの姿は、これからの建設業界を担う若者たちにとって、大きな励みとなることでしょう。 

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