山松水産株式会社は、半世紀という長きに渡り、焼津の地でマグロを主とした水産加工業をされてきました。代表取締役社長の河合博さんに伺いました。
「この数十年で、冷凍保管が可能になったり、丸ごと一匹ではなく細かく(4等分などに)裁断するようになったり、環境やニーズは変化してきました」
河合社長は落ち着いた表情で語り始めました。
30歳になる頃からよく読書をするようになったこと、結果を出したくて必死だったこと、頭を下げられずぶつかり落ち込んだこと、そんな若い頃のお話が、今も走り続けている社長の口から出てきました。
「加工工場はHACCP対応です。FSSC22000も認証取得しました」
FSSC22000は食品安全の国際規格です。山松水産(株)の商品は、もとより安全面や品質面で評判は良いのですが、それに輪をかけた形で、安全・品質面での信頼を強固なものにしました。
「心配しているのは、魚自体の質の低下です」
社長が眉間にシワを寄せて言いました。それはどういうことでしょうか?
「全体的に魚の質が低下していると感じています。様々な要因があると思うのですが、その一つには《海自体の変化》があると思います」
海の環境変化はとても長い年月を経て少しずつ変化してきたものです。すぐにどうこうできることではありません。なかなか難しい問題です。
「マグロなど魚の尻尾をカットし切断面を見て選別する品質検査工程があります。当社独自に設定したこの《選別基準》は昔から変えていません」
キッパリと河合社長は言いました。今まで培ってきた『品質の山松水産』という信頼や信用があります。それは変わらないということです。
「鮮度と《赤身の質》にこだわって、とにかく《いい魚》を売っていきたい」
河合社長は言い切りました。
世の中や環境が変わろうとも、『いい魚を売っていきたい』という山松水産株式会社の信念は昔も今も変わらず続いています。
執筆者:武田宗徳(C’mon Wakamon編集部)
藤枝生まれ藤枝育ちの二児の父。20年ほど続けてきたサラリーマン生活に終止符を打ち、現在は執筆業を中心に活動している。