新卒採用募集していないのに猛アピールで入職
立石さんは福祉の専門学校を卒業後、新卒採用で入職。開寿園を受けようと思ったきっかけは、学生時代に実習でおとずれ、職員と入居者さまの距離感の近さを見て、楽しそうな職場と感じたからだそう。
当時は学生の勉強の一環として実習は受け入れていたものの、新卒の採用募集はしていなかった。ところが、立石さんは実習で味わった職場環境のよさから、どうしてもここで働きたいと懇願。実習中に、入職したい気持ちを職員に猛アピールし、努力が認められ入職に至った。
きらわれる勇気がもてなかった
入職するための自己アピールを人生でいちばんがんばったと言いきれるほど、もともと自己アピールが得意ではなかった。人の気持ちを察するのは得意なほうだが、自分の気持ちを伝えるのは苦手。自分の発言により相手がどう思うのかが気になり、人の顔色ばかりうかがっていた。
介護の仕事はチームでするもの。つまりスタッフ同士の連携が大事でもある。立石さんは、まわりとうまくやりたいために、自分の気持ちを押し殺すことで、その場をやりすごす状況がつづき、しだいにストレスはたまっていった。
たよれる同僚に話をきいてもらう
当時の上司である藤曲さんに、仕事の悩みや相談にのってもらっていた。藤曲さんは、立石さんの強みと弱みをわかったうえでアドバイスをし、次につなげられるよう、背中を押してくれたそう。困ったことをなんでも話せる上司がそばにいてくれる職場は、仕事のしやすい環境かつ、安心して長くつづけられる要因にもつながる。
元上司である藤曲さんとは、現在は他部署の課長同士という不思議な関係。先輩であり、同じ課長目線で話せる関係性は、たがいに信頼しあえている仲間であることがうかがわれる。
キャリア形成~まさか自分が課長になるなんて~
若くして能力を買われた立石さんの現在の役職は介護課長。五十人ほど在籍するスタッフのとりまとめをしている。
入職当初の自分は役職につくなんて想像もつかなかった。みんなで協力してやっていけたらいいと思っていた。
やがて後輩ができ、教える役わりを与えられたことでコミュニケーション能力も自然と身についていった。
藤曲さんは立石さんの仕事に向き合う姿勢や働きぶりに感化され、先見の明があると感じていたそう。
ひかえめで、自分の気持ちや考えを発言すらできなかった立石さん。藤曲さんが引っぱってくれたおかげで、今のポジションに自分が推薦されたことが、本当にうれしかったそう。
介護未経験から役職につくまで
立石さんにとって、たよれる姉御肌の藤曲さんも、実は介護の仕事は未経験からはじまっている。大学を卒業後、サービス業に従事。三十歳のとき開寿園に転職。働きながら専門学校のスクーリングに通い、社会福祉士の資格を習得するための勉強にはげんだ。
実務経験をへて、国家資格にみごと合格。気がつけば二十年余りが経ち、この世界のベテランの領域に達した。
入居者さまをプロデュースできるようになれば、介護は楽しくなる。その人らしく暮らしていけるよう支援できたらうれしい。そこまで行きつくには時間はかかるが、それが介護の楽しみ。
立石さんから就活中のワカモンへエール!
やりたいこと、楽しいと思えることをしたらいいと思う。まわりの話に耳を傾けても、結局最後に決めるのは自分。なんでもネガティブに考えすぎないほうがいい。自分を追い込むことでいいことはない。自己肯定感の低さから人を傷つけてしまい、仕事にも支障をきたしてしまうから。立ち止まって考えてみることで少しずつ大人になっていけると思う。
編集部から見たワカモン先輩の印象
仕事をとおして徐々に成長していく立石さんの様子にとても感化された。苦手だった自己アピールも就職という人生のターニングポイントで殻をやぶり、希望をかなえた。人の顔色ばかりうかがって、言いたいことも言えなかったのが、後輩ができたことで教えられるようになった。そして現在は課長に。本人の努力のたまものではあるが、それを発揮できる職場環境や上司、先輩、たよれる同僚のささえにより、自己発揮=夢はかなえられるのかもしれない。
執筆者: 本田秋江 (C’mon Wakamon編集部)
生まれも育ちも嫁に行っても藤枝市。高校卒業後、進学のため上京。
学生時代はディズニーシーの立ち上げや造形製作に携わる。
新卒でNHK入局。番組CG制作を担当。その後、ゲーム会社にてキャラクターデザイン製作に携わるも、30歳を機に帰静。
CM制作ディレクター、雑誌の編集デザイナーを経て、30年続けているヨガの勉強をしに渡印。インストラクターの資格を修得。
IT企業や広報を経て、2017年「クリエイティブスタジオ赤飯」創立。事業内容は広告・パンフレット等、紙媒体を中心としたデザイン製作。
趣味はヨガとポタリング。
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