石田缶詰株式会社で働いている方、お二人とお話することができました。
一人は中途採用の五十代の男性です。神奈川県横浜市に住んでいて東京に勤務されていた方ですが、早期退職を機に藤枝市に移住したというのです。数年前、都内の移住フェアに立ち寄り、たまたま藤枝市のブースで話を聞き、しばらくして藤枝市に訪れて、説明をしてくれた職員の方が実際に藤枝市を案内してくれたというのです。すっかり気に入ってしまい、移住を決めました。
「藤枝でなくても良かったのでしょうけど、ご縁がありました」
担当の職員の方は親身になってくれた、と度々おっしゃっていました。石田缶詰(株)でのお仕事も市で紹介してくれたそうです。お住まいは蓮華寺池公園のそばで、花火も見えるだろうと話が弾みました。(取材は藤枝花火大会の直前でした)
「ずっと満員電車通勤でしたから。今はのんびりした環境で気持ちよく生活ができています」
終始笑顔で、首都圏との生活の違いを聞かせてくれました。流れている時間の速さが違うというのです。皆がのんびりと穏やかで……。だからかえって最初は戸惑ったと言います。
「都内では2、3分の間隔で電車が来ます。みんなが先に来た電車に乗ろうとします。ここでの生活では無理して急がなくてもいい、と気付かされます。時々もっとこうすれば早くて効率も良いのにって、もどかしく思うときもありますが……、ここでの郷に従っています」
と笑いました。
都内では品質管理のお仕事をされていて、石田缶詰(株)でも品質管理の部署に所属しています。同じ品質管理ですが、会社も違うし、扱う商品も違います。
「覚えることはたくさんあります。色々勉強し、学ばせてもらっています」
公私共に、楽しく充実した生活を送っているようです。
「楽しいことはいいことです。楽しい会社は、いい会社です」
石田社長の考えです。
藤枝移住、現在58歳。新しい環境で新しい生活が始まっています。
もう一人は、モンゴルをルーツとした中国人の方で、現在日本人の旦那さんと焼津にお住まいの女性です。石田缶詰(株)は外国人も積極的に採用しています。
来日のきっかけは技能実習でした。日本には9年前から住んでいて佐賀県に3年、その後、静岡県焼津市に移って6年が経ちました。現在38歳です。
1年ほど前に石田缶詰(株)に入社し、今年の4月にはその働きぶりと能力が認められ《野菜処理室》に配属されました。管理本部長が、その仕事内容について教えてくれました。
「生産のペースを考えながら野菜を準備します。野菜が足りなくなる前に発注もします。大変な仕事ですよ。足りないのはNGですし、多すぎて余ると腐ってしまいますから」
想像するだけでも大変なお仕事だと理解できます。しかし彼女は言います。
「考えて作業することや、新しく覚えていくことが楽しいです」
日本食の料理を上手にできたら、という思いで食品関連の仕事を探していたのだそうです。ちなみに好きな日本食が気になり、聞いてみました。
「さしみです」
なんとも意外な答えが帰ってきました。初めて食べた時は苦手だったそうですが、だんだん好きになっていったそうです。
「静岡は安全で食べ物がおいしい」
笑顔で言った彼女の言葉を、これからもそうありたいと受けとめました。
執筆者:武田宗徳(C’mon Wakamon編集部)
藤枝生まれ藤枝育ちの二児の父。20年ほど続けてきたサラリーマン生活に終止符を打ち、現在は執筆業を中心に活動している。
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石田缶詰株式会社
わが社は、全社員が経営とオリジナル商品開発に積極的に関わることを目指し、ただ働くだけで無く夢や目標を実現し、全社員が仕事と会社を誇れることを第一として取り組んでいます。又創業より培った食品保存、衛生管理技術を活かして、他社との共同開発により宇宙開発プロジェクトに参画し、JAXA認定を受けた「宇宙日本食」を製造しています。 -
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